宝塚初心者におすすめ作品<大劇場一本もの>

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宝塚の舞台って、実は一口に“ミュージカル”と言っても、さまざまなスタイルがあるんです。
中でも“1本もの”と呼ばれるのが、1つの物語をじっくりと描き切る長編作品。宝塚大劇場で約3時間(幕間含む)を使って、壮大な世界観やドラマチックなストーリーをたっぷり堪能できるのが魅力です。

今回はその「大劇場の一本もの」作品の中から、宝塚初心者さんにもわかりやすく、感情移入しやすい名作をピックアップしてご紹介!
初心者でも物語に入り込みやすく、主演スターたちの圧巻の芝居や歌に胸を打たれるような作品ばかりです。
宝塚の“物語力”と“スターの輝き”を一度に味わいたい方に、ぜひおすすめしたいラインナップです♪

ロミオとジュリエット

2021年|星組|主要キャスト

  • ロミオ :礼 真琴
  • ジュリエット :舞空 瞳
  • ロレンス神父 :英真 なおき
  • モンタギュー卿 :美稀 千種
  • モンタギュー夫人 :白妙 なつ
  • キャピュレット卿 :天寿 光希
  • キャピュレット夫人 :夢妃 杏瑠
  • ティボルト(A日程) :愛月 ひかる
  • ティボルト(B日程) :瀬央 ゆりあ
  • ベンヴォーリオ(A日程) :瀬央 ゆりあ
  • ベンヴォーリオ(B日程) :綺城 ひか理
  • マーキューシオ(A日程) :極美 慎
  • マーキューシオ(B日程) :天華 えま
  • パリス(A日程) :綺城 ひか理
  • パリス(B日程) :極美 慎
  • 死(B日程) :愛月 ひかる
  • 乳母 :有沙 瞳

あらすじ

作品概要・演出家
この作品はウィリアム・シェイクスピア原作、ジェラール・プレスギュルヴィック作曲によるフレンチ・ロック・ミュージカル。小池修一郎が潤色・演出を担当し、2010年の宝塚初演以来、雪組・月組を経て2013年と2021年に星組が再演を果たしています。
2021年は、礼真琴さんがトップスターとしてロミオ役に満を持して挑みました。全体でA日程・B日程と配役を分けた公演方式が採用され、主要キャラが役替わりすることで、同じ物語でも新たな表情を見せるのが特徴です。

冒頭のあらすじ

モンタギュー家とキャピュレット家――
古くから争いを続ける二つの名家が支配する街・ヴェローナ。

血と憎しみに覆われたこの街で、運命のように出会ってしまったひと組の若者。
ロミオは、敵であるキャピュレット家の娘・ジュリエットに一目で心を奪われ、
ジュリエットもまた、ロミオに初めて「生きる意味」を見出していく。

それが禁じられた恋と知りながらも、
ふたりの想いは、夜の闇に乗って燃え上がっていく――。

若く、無垢で、激しい愛。
誰も止められないその情熱は、やがて周囲の運命をも大きく揺るがしはじめる。

愛か、運命か、それとも…死か。
ふたりの恋の行方は、果たしてどこへ向かうのか──?

おすすめポイント

🔸 礼真琴&舞空瞳の“究極のラブストーリー”

礼真琴さんのロミオは、かつて新人公演で印象的だった瑞々しさを、トップスターとしてさらに深みと情熱をもって再現。新人公演の時よりも繊細で気弱で、しかし包容力が増した印象です。
舞空瞳さんのジュリエットは、清楚ながら意志が強く歴代で最も強さを感じる役作りになっています。二人の相性と切なさがステージにじんわり染みるコンビ、最高です 。

🔸 A/B日程の役替わり演出の妙

AとBでティボルト・ベンヴォーリオ・パリスなどのキャストが大胆に入れ替わる構成。例えばB日程では瀬央ゆりあさんが情熱的なティボルトに挑戦し、愛月ひかるさんは“死”を象徴的に描くなど、それぞれの化学反応が新鮮で見応え十分。特に愛月さんの死は細かい表情や仕草など必見です。

🔸 音楽と演出の融合がやっぱり圧巻

ジェラール・プレスギュルヴィックの楽曲はフレンチ・ロック調なのにシェイクスピアの世界観と驚くほどマッチ。冒頭の軽やかなリズムから悲恋を象徴する重厚な旋律へ、緩急つけた演出がシャープです。さらに、小池修一郎独特のビジュアル演出が感情をグッと引き立ててくれます。

🔸 脇役たちも光りまくり!

乳母・神父・大公からマイナー役まで、キャスト全員が一人一人キャラクターを丁寧に表現。特に有沙瞳さんの“乳母”は深みがあって印象的、有沙さん以外でも綺城ひか理・極美慎・天華えまらのそれぞれの役替わり演技が響きます。さらに英真さんのローレンス神父、安心感があります。

まとめ

『ロミオとジュリエット』は、愛し合いながらも引き裂かれる若いふたりの運命と、その愛に殉じる強さが胸を打つ、壮大で情熱的なミュージカル作品です。

星組トップスター・礼真琴さんをはじめ、舞空瞳さん、瀬央ゆりあさんら実力派が繊細かつ熱く演じるドラマは、心に深く残ります。
儚くも美しい愛の物語と、宝塚ならではの華やかな舞台演出が融合した名作として、初めて宝塚を見る方にもぜひおすすめしたい一作です。

ベルサイユのばら ―フェルゼンとマリー・アントワネット編―

ベルサイユのばら2001 フェルゼンとマリー・アントワネット編 [DVD]
ベルサイユのばら2001 フェルゼンとマリー・アントワネット編

2001年|宙組|主要キャスト

  • ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン:和央ようか
  • マリー・アントワネット(王妃):花總まり
  • オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(近衛隊長・男役):水夏希
  • アンドレ・グランディエ(オスカルの乳兄弟):彩輝直
  • ジェローデル(近衛少佐):寿つかさ
  • ロザリー:陵あきの
  • ルイ16世:大峯麻由
  • メルシー伯爵(アントワネットの後見人):未沙のえる
  • マリア・テレジア(オーストリア女帝):城火呂絵

あらすじ

作品概要・演出家
池田理代子原作の大河ロマンを、脚本・演出の植田紳爾が鮮やかに再構築。
18世紀末のフランス、ヴェルサイユ宮殿を舞台に、選ばれし者の恋と悲劇を描き出す宝塚の代表作。
2001年宙組版は、トップスター和央ようかと花總まりによるフェルゼンとアントワネットの物語に焦点を当て、重厚かつ叙情的な演出が高く評価されました。

冒頭のあらすじ
仮面舞踏会に紛れ込んだスウェーデン貴族フェルゼン(和央ようか)は、気まぐれで奔放な王妃アントワネット(花總まり)と運命的に出会う。
政略結婚に縛られた彼女と、忠誠と愛の間で揺れる彼。
一方、宮廷では民の不満が静かに高まり、革命の足音が忍び寄っていた――。

「この恋は王妃の義務に反するのか、それとも人間としての真実か?」
フェルゼンとアントワネット、決して交わるはずのない二つの想いが、歴史の時流に巻き込まれていく。


おすすめポイント

和央ようかのフェルゼンが体現する「忠誠と禁断の愛」

和央ようかさんは、礼儀正しく知性に満ちた青年貴族=フェルゼンを完璧に演じています。
軍服姿で王妃に仕えながらも、内側では秘めた情熱を燃やす―その静かな狂おしさが、舞台全体に緊張感と深みをもたらします。

花總まりが見せる“王妃の孤高さと恋の予感”

華やかな衣装に身を包んだアントワネットが、王妃としての使命感と、一人の女性としての弱さを併せ持つ存在として描かれる花總まりさんの演技は必見です。
自由を求め、フェルゼンに心寄せる瞬間の儚さと強さ…その両面を見事に体現しています。

水夏希×彩輝直×寿つかさが紡ぐ仲間の絆と苦悩

オスカル(男装の近衛隊長)を演じる水夏希は、軍人としての誇りと人としての思いに揺れる複雑なキャラクター。
彼を支えるアンドレ(彩輝直)との絆や、ジェローデル(寿つかさ)との兄弟的友情が、フェルゼン編に深い人間ドラマを与えています。
水夏希の凛とした剣さばきと彩輝直の温かいまなざし。この二人の演技にも注目です。

宙組ならではの舞台美と音楽のスケール感

植田紳爾×谷正純演出によるロココ宮廷の細部にまでこだわったセット、群舞の圧倒的な美しさ、そして名曲の数々。
特に「愛あればこそ」は、王妃と伯爵の関係を象徴する劇中歌として今も語り継がれています。


まとめ

『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』は、
“禁断”の恋と歴史に抗う愛を、誠実にかつ美しく描いた大作。

和央ようか×花總まりによるトップコンビはもちろん、水夏希・彩輝直・寿つかさらの実力派が脇を固め、
豪華絢爛な舞台演出と音楽が観客をベルばらの世界へと引き込みます。

宝塚の群を抜く総合力と、深い余韻をともなう悲恋が胸に迫る――
まさしく宝塚の金字塔として、今なお色あせぬ感動を与え続ける作品です。

エリザベート ―愛と死の輪舞〈ロンド〉―

『エリザベート』('96年雪組) [DVD]
『エリザベート』('96年雪組)

1996年|雪組|主要キャスト

  • トート(死/Der Tod):一路真輝
  • エリザベート(皇后・シシィ):花總まり
  • フランツ・ヨーゼフ:高嶺ふぶき
  • ルドルフ:香寿たつき
  • ルキーニ(道化師/ナレーター):轟悠

あらすじ

作品概要・演出家
『エリザベート』はオーストリア皇后シシィ(エリザベート)と死=トートとの運命的な愛を中心に、19世紀末ウィーンを舞台に繰り広げられる歴史ロマン・ミュージカル。
1996年雪組公演は宝塚版初演であり、一路真輝率いる雪組にとって大きな挑戦かつ転機となった作品です。

演出家の小池修一郎は、この作品を通じて宝塚の演出像に新風を吹き込み、一気に注目を浴びる存在となりました 。

冒頭のあらすじ
舞台はウィーン、皇后エリザベート。美しく自由を愛する彼女は、宮廷という檻の中で次第に生きづらさを感じ始める。
その胸中で彼女を永遠に見つめ続けるのが、死の象徴=トート。
彼はシシィにささやく。「おまえを愛してしまった死だ」と。

その声を聞いた時、エリザベートの中で何かが揺れ動く。
輝く人生と、逃れられない宿命。
この出会いが、彼女を永遠と絶望の狭間へと誘っていきます――。


おすすめポイント

一路真輝が紡ぐ“死神=トート”の狂気と誘惑

一路真輝さんが演じるトートは、冷静で美しく、観客を魅了する存在。
死そのものが人間に恋するという不可思議な設定を、彼女は妖艶かつ静謐に表現しています。
シシィの成長とともに寄り添い、時に翻弄し、そして彼女を運命の深みへ誘うトートの姿は、演技・歌ともに圧巻です。

花總まりのシシィが見せる“孤高の皇后の孤独”

初主演トップスターとして臨んだ花總まりさんは、公演当時研5でありながら、その繊細な歌唱と存在感で物語を牽引しました。
鏡の間で出てきた瞬間の美しさ、宮廷の重圧に押しつぶされる様子─やはりエリザベートといえば花總まり。彼女を超えるシシィは出てこないでしょう。

轟悠のルキーニが舞台に与える“狂気と語り”

ナレーター役のルキーニを轟悠さんが演じたことで、作品に強烈な個性が生まれました。
“狂気を孕んだ観客席案内人”としてトート×シシィの関係に皮肉と狂言のスパイスを加え、舞台の奥行きを深めています。ルキーニも轟さんを超える人は出てこないでしょう。

豪華キャストと舞台演出の調和

フランツ皇帝を高嶺ふぶきさんが重厚に演じ、若き皇太子ルドルフには香寿たつきが登場。
トップ二人を含む主要キャスト5人の歌唱力がこれほどまでに高い公演は他にありません。

舞台美術はウィーン宮廷の豪華絢爛さと、死の世界の暗黒・幻想を緻密に表現。
雪組の若き演者たちによる群舞は圧巻で、音楽と視覚効果が一体となった舞台芸術として高い完成度を誇りました。


まとめ

1996年雪組版『エリザベート』は、
「死」に魅入られた皇后と、死そのものが恋した物語──という、宝塚に新たな境地を切り開いた大作です。

一路真輝×花總まり×轟悠の豪華キャストの共演によって、優雅さと狂気、哀しさと美しさが渾然一体となり、宝塚ならではの壮大な舞台世界を創出。
その後の宝塚史においても再演が繰り返される人気作の原点であり、ファンの間で「伝説」として語り継がれる珠玉の一作となっています。

ME AND MY GIRL

月組 梅田芸術劇場公演 ミュージカル 「ME AND MY GIRL 」 [DVD]
月組 梅田芸術劇場公演 ミュージカル 「ME AND MY GIRL 」

2013年|月組|主要キャスト

  • ウイリアム・スナイブスン(通称:ビル):龍 真咲
  • サリー・スミス:愛希 れいか
  • ジョン・トレメイン卿(遺言執行人):越乃 リュウ(役替わり:沙央 くらま)
  • ディーン・マリア公爵夫人(遺言者妹):憧花 ゆりの
  • ジャクリーン・カーストン(ジャッキー):凪七 瑠海
  • ジェラルド・ボリングボーク:美弥 るりか
  • セドリック・パーチェスター(弁護士):星条 海斗

あらすじ

作品概要・演出家
本作は1937年にロンドンで初演され、長期ロングランを記録したミュージカルの名作。宝塚では月組の定番となっており、2013年版は龍真咲&愛希れいかのトップコンビが挑みました。
主に下町出身の青年ビルが、失われた伯爵家の世継ぎとして迎えられ、恋人サリーとの愛との間で奮闘するロマンティックコメディです。

脚色・演出を担った三木章雄は、楽しく華やかな舞台演出を通じて、「ミーマイ」の魅力を活かしつつ、月組らしい軽やかさと勢いを加えています。

冒頭のあらすじ
舞台は1930年代、ロンドン近郊の邸宅ヘアフォード家。下町ランベスに住むビル(龍真咲)が、落胤として呼び寄せられる。
慣れない紳士としての振る舞いを学びながらも、幼なじみで恋人のサリー(愛希れいか)への一途な思いは消えず、華麗な社交界を舞台に“元の自分”と“新しい世界”との間で揺れ動きます。
そこに遺言執行人や貴族家族、恋のライバルたちが絡み合い、明るく楽しい騒動が巻き起こっていきます ――。


おすすめポイント

龍真咲×愛希れいかの“爽やかでキュートなカップル像”

龍真咲さん演じるビルは、無邪気さ全開の登場から、2幕の紳士姿まで、軽やかに成長する姿が魅力です。
愛希れいかさんのサリーは、下町娘から変身する場面の美貌と歌唱力が圧巻です。「あなたの心を一度なくすと」のナンバーは聴きごたえがあります。

個性豊かな脇役たちが舞台に彩りを添える

越乃リュウさんのジョン卿は、執事としての風格とコミカルさを両立し、舞台に厚みを加えます。
憧花ゆりのさんのマリア公爵夫人も、母性と格式を併せ持つ演技で印象的です。
凪七瑠海さんと美弥るりかさんはライバル同士をコケティッシュに演じ分け、そのやり取りが舞台の楽しさを増幅させています 。

星条海斗の“弁護士キャラ”が舞台を盛り上げる

パーチェスターを務めた星条海斗さんは、低音ボイスとダイナミックダンスで圧倒的存在感を放っています。やはりこういう役者さんがいると舞台が締まりますね。


まとめ

『ME AND MY GIRL』2013年月組版は、
龍真咲さんと愛希れいかさんによるフレッシュでチャーミングなカップルを中心に、月組ならではの軽やかさとエネルギー溢れる舞台が魅力です。
ただのロマンティックコメディではなく、成長、決断、そして本当の愛とは何かを問う物語でもあります。

明るく楽しい音楽、個性的な脇役たち、そして大合唱フィナーレ……
観客も一緒に舞台を楽しみつつ、「幸せな余韻」を持ち帰れる、そんなステージです。

宝塚ファンの方はもちろん、初めてのミュージカルとしてもおすすめしたい作品です。

王家に捧ぐ歌 ―オペラ「アイーダ」より―

舞台パンフレット 宝塚星組 王家に捧ぐ歌 2005年 中日劇場公演 湖月わたる 安蘭けい 檀れい
【出演者】 ラダメス=湖月わたる/アムネリス=檀 れい/アイーダ=安蘭けい *~*~* アモナスロ=一樹千尋/ファラオ=箙かおる/神官ネセル=英真なおき/ファトマ=万里柚美/神官ヘレウ=にしき愛/女官ワーヘド=しのぶ紫/神官メウ=高央りお/...

2003年|星組|主要キャスト

  • ラダメス(エジプトの若き将軍):湖月わたる
  • アイーダ(エチオピアの王女):安蘭けい(男役二番手)
  • ファラオ(エジプト王):箙かおる
  • ウバルド(アイーダの兄):汐美真帆
  • ケペル(ラダメスの戦友):立樹遥
  • メレルカ(ラダメスの戦友):柚希礼音
  • カマンテ(エチオピア王家の元家臣):真飛聖
  • サウフェ(同じくエチオピア側):涼紫央

あらすじ

作品概要・演出家
本作はヴェルディの名作オペラ『アイーダ』を、宝塚オリジナルの新脚本・音楽で描くグランド・ロマンス。
壮大な古代エジプトを舞台に、ラダメス将軍と敵国エチオピアの王女アイーダ、そしてファラオの娘アムネリスという三角関係を軸に、愛と友情、忠誠と犠牲、王国の運命が交錯するドラマを繰り広げます。2003年星組の新トップコンビ・湖月わたる&檀れいのお披露目となった大作で、第58回芸術祭優秀賞を受賞しています。

脚本・演出を手がけた木村信司は、原作に深みを与える情感豊かな演出で物語を壮麗に彩り、甲斐正人による音楽、そして名振付家マイヤ・プリセツカヤの振付が加わることで、宝塚ならではの総合芸術として高く評価されました 。

冒頭のあらすじ
舞台は古代エジプト、勝利の凱旋から始まります。将軍ラダメス(湖月わたる)は捕虜となったエチオピア王女アイーダ(安蘭けい)を恋い慕うが、愛を知らずに過ごす彼女は複雑な心境。
一方、ファラオの娘アムネリス(檀れい)は、兄ラダメスとの婚約を控えながら彼の気持ちの変化を感じ取り始めます。
異なる運命を背負う三人は、それぞれに愛と責任の狭間で揺れ動き、やがて歴史の嵐へと引き込まれていきます――。


おすすめポイント

湖月わたるの“誠実かつ情熱的な将軍ラダメス”

新トップスターとして華々しく登場した湖月わたるさんが演じるラダメスは、勝利に酔いしれる将軍から、愛に目覚め苦悶する男へと深化。
剣を携えた勇ましい姿、王女に呼びかける熱い表情、そして最期まで信念を貫こうとする強さが見事に融合した演技は、まさに“男役の理想形”でした。

檀れいが魅せる“娘役でありながら王女としての威厳”

檀れいさん演じるアムネリスは、エジプトの姫としての誇りある佇まいと、ラダメスへの淡い恋心の間で揺れる繊細な存在を見事に演じています。
彼女の華やかな衣装と息を呑むほどの美貌、そして放つ眼差しの切なさが舞台に深いドラマ性をもたらしています 。

安蘭けいが男役で挑む“アイーダという異色ヒロイン”

男役2番手の安蘭けいさんが演じたアイーダは注目ポイント。異国の王女でありながら内面に秘めた純粋な愛を、その歌唱力の高さを発揮して力強く歌い上げました。
“男役が女性役を演じる”という宝塚ならではの大胆な挑戦が、作品に新たな魅力を付加しています。

スケール感と豪華舞台美が光る演出

戦いの場面ではエジプトの軍団が動き、宮廷空間ではシャンデリアや金色のセットが壮麗に映え、観客を古代世界へと引き込みます。
マイヤ・プリセツカヤの振付による群舞は優雅かつ躍動的で、全編にわたって宝塚ならではの華と迫力が際立つ舞台構成になっています。


まとめ

『王家に捧ぐ歌 ―オペラ「アイーダ」より―』2003年星組版は、
壮大なスケールの古代ロマンスにおいて、湖月わたると檀れいという新トップコンビが織りなす“愛と忠誠”“友情と犠牲”が胸を打つ名作です。

音楽、振付、舞台美術、演出……どれをとっても宝塚歌劇の総合芸術の高さを感じさせる完成度。
異色の配役と、それを魅力に変える演者たちの存在感が光り、今日なお語り継がれる“伝説のAID A”として、宝塚ファン必見の一作です。

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