宙組は、1998年に誕生した宝塚で最も新しい組。
ダイナミックな舞台構成と、スタイリッシュな雰囲気が特徴で、初心者にも見やすく印象に残る舞台が多いです。
この記事では、宙組で初心者におすすめの作品を、「一本もの」「二本立ての芝居」「二本立てのショー」に分けてご紹介します。
一本もののおすすめ作品【宙組】
ベルサイユのばら ―フェルゼンとマリー・アントワネット編―

2001年|宙組|主要キャスト
- ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン:和央ようか
- マリー・アントワネット(王妃):花總まり
- オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ(近衛隊長・男役):水夏希
- アンドレ・グランディエ(オスカルの乳兄弟):彩輝直
- ジェローデル(近衛少佐):寿つかさ
- ロザリー:陵あきの
- ルイ16世:大峯麻由
- メルシー伯爵(アントワネットの後見人):未沙のえる
- マリア・テレジア(オーストリア女帝):城火呂絵
あらすじ
作品概要・演出家
池田理代子原作の大河ロマンを、脚本・演出の植田紳爾が鮮やかに再構築。
18世紀末のフランス、ヴェルサイユ宮殿を舞台に、選ばれし者の恋と悲劇を描き出す宝塚の代表作。
2001年宙組版は、トップスター和央ようかと花總まりによるフェルゼンとアントワネットの物語に焦点を当て、重厚かつ叙情的な演出が高く評価されました。
冒頭のあらすじ
仮面舞踏会に紛れ込んだスウェーデン貴族フェルゼン(和央ようか)は、気まぐれで奔放な王妃アントワネット(花總まり)と運命的に出会う。
政略結婚に縛られた彼女と、忠誠と愛の間で揺れる彼。
一方、宮廷では民の不満が静かに高まり、革命の足音が忍び寄っていた――。
「この恋は王妃の義務に反するのか、それとも人間としての真実か?」
フェルゼンとアントワネット、決して交わるはずのない二つの想いが、歴史の時流に巻き込まれていく。
おすすめポイント
和央ようかのフェルゼンが体現する「忠誠と禁断の愛」
和央ようかさんは、礼儀正しく知性に満ちた青年貴族=フェルゼンを完璧に演じています。
軍服姿で王妃に仕えながらも、内側では秘めた情熱を燃やす―その静かな狂おしさが、舞台全体に緊張感と深みをもたらします。
花總まりが見せる“王妃の孤高さと恋の予感”
華やかな衣装に身を包んだアントワネットが、王妃としての使命感と、一人の女性としての弱さを併せ持つ存在として描かれる花總まりさんの演技は必見です。
自由を求め、フェルゼンに心寄せる瞬間の儚さと強さ…その両面を見事に体現しています。
水夏希×彩輝直×寿つかさが紡ぐ仲間の絆と苦悩
オスカル(男装の近衛隊長)を演じる水夏希は、軍人としての誇りと人としての思いに揺れる複雑なキャラクター。
彼を支えるアンドレ(彩輝直)との絆や、ジェローデル(寿つかさ)との兄弟的友情が、フェルゼン編に深い人間ドラマを与えています。
水夏希の凛とした剣さばきと彩輝直の温かいまなざし。この二人の演技にも注目です。
宙組ならではの舞台美と音楽のスケール感
植田紳爾×谷正純演出によるロココ宮廷の細部にまでこだわったセット、群舞の圧倒的な美しさ、そして名曲の数々。
特に「愛あればこそ」は、王妃と伯爵の関係を象徴する劇中歌として今も語り継がれています。
まとめ
『ベルサイユのばら―フェルゼンとマリー・アントワネット編―』は、
“禁断”の恋と歴史に抗う愛を、誠実にかつ美しく描いた大作。
和央ようか×花總まりによるトップコンビはもちろん、水夏希・彩輝直・寿つかさらの実力派が脇を固め、
豪華絢爛な舞台演出と音楽が観客をベルばらの世界へと引き込みます。
宝塚の群を抜く総合力と、深い余韻をともなう悲恋が胸に迫る――
まさしく宝塚の金字塔として、今なお色あせぬ感動を与え続ける作品です。
二本立ての芝居でおすすめ【宙組】
Shakespeare 〜空に満つるは、尽きせぬ言の葉〜

2016年|宙組|主要キャスト
- ウィリアム・シェイクスピア:朝夏まなと
- アン・ハサウェイ(妻):実咲凜音
- ジョージ・ケアリー(後援者・ハンズドン卿):真風涼帆
- リチャード・バーベッジ(劇団俳優):沙央くらま
あらすじ
作品概要・演出家
- 作・演出:生田大和による、シェイクスピア没後400年を記念したオリジナル・ミュージカル。
- エリザベス朝時代のロンドンを舞台に、劇作家シェイクスピア自身を主人公とし、その創作の源泉“言葉”に魅せられた人生を、実在の妻アン・ハサウェイや後援者ケアリー卿との出会いを通して描くドラマティックなストーリー。
冒頭のあらすじ
詩作に没頭する青年、ウィリアム・シェイクスピアは、言葉の力に魅せられながらも、その表現に迷いを感じていた。ある日、田舎町で出会った女性アン・ハサウェイとの交流が、彼の内に眠る創作への情熱を呼び覚ます。
やがて舞台は華やかなロンドンへ。名家ハンズドン卿との出会いが、彼の運命を大きく動かしていく——。
文学と劇、愛と野心が交差する中、彼の“言葉”は何を描き、何を失っていくのか…。
おすすめポイント
- 朝夏まなとの二面性を演じ分ける迫力ある芝居
純粋な青年期から成功期、そして言葉に苦悩する晩年まで、彼の“言葉”への愛と葛藤を1人で深く表現する朝夏さんの演技は圧巻です 。 - 青春ロマンスと劇中劇の豊かなミックス
アンとのロマンチックな出会いから、劇団支援、劇中挿入演出まで、シェイクスピア作品を模した劇中劇が巧みに織り込まれ、物語に深みと彩りが加わっています。 - 豪華コスチューム&ロンドン情景
エリザベス朝の貴族衣装や劇中劇の衣装、森やバルコニーのステージセットが視覚的にも楽しめる演出です。 - 全場大階段を活かしたダイナミックなショー『HOT EYES!!』付き
後半ショーは33年ぶりに全場で大階段を使用。娘役のエレガントさ、男役によるタンゴやクラブ風シーンなどバラエティ豊かな展開で、宙組のパワーを堪能できます。 - 初心者にも楽しみやすく、感動のバランスも◎
史実ベースのストーリーとフィクションのほどよい融合で、宝塚初心者でもドラマとショー両方を満喫できる構成です。
まとめ
『Shakespeare 〜空に満つるは、尽きせぬ言の葉〜』は、劇作家シェイクスピアの知られざる半生を美しく切なく紡ぐ感動作。朝夏まなとさんと実咲凜音さんのトップコンビが生み出す情感、真風涼帆さんら脇役の存在感が作品を豊かに彩ります。ショー『HOT EYES!!』の大階段演出も含め、宝塚のエンタメ力を丸ごと楽しめる、おすすめの一本です!
二本立てのショーでおすすめ【宙組】
ミレニアム・チャレンジャー!

- 年度:2000年
- 組名:宙組
- 主要出演者:
和央ようか(新トップスターお披露目)、花總まり、湖月わたる、樹里咲穂 ほか
作品概要
『ミレニアム・チャレンジャー!』は、21世紀を迎えるにあたり、未来への“チャレンジ精神”をテーマにしたグランド・レビューショー。作・演出は石田昌也さん、振付にはTRFのSAMさんも参加し、“無国籍”で賑やかなエネルギーあふれる舞台に仕上がっています。
オープニングは、和央ようかさんを中心とする出演者たちによるリズミカルな歌とダンスから始まります。その後、湖月わたるさんや樹里咲穂さんらによる「大漁ソーラン」のパワフルな群舞、ジャズ調にアレンジされた“さくらさくら”の軽やかなシーン、そして大人の恋が描かれる「カウンター」など、多彩なシーンが目まぐるしく展開。
中盤には、狐と青年による幻想的なバレエや、十二支をモチーフにしたダンスなど、ショーならではのエンタメ感もたっぷり。一貫して「変化」と「躍動感」を重視した構成で、最後はTRF SAM氏振付の祝祭ダンスでショーが華やかに締めくくられます。
具体的な超ポイント:魅せ場集!
全体の印象:リズムが止まらない、まさに「ショーの祭典」!
オープニングから「走り出す」感じで、一瞬たりとも緩まない60分。次々とテーマの異なるシーンが切り替わる構成で、観ている気持ちもぐっと引き込まれるショーです。
ロック調ソーランで気分が一気に高まる群舞
湖月わたるさんをはじめ宙組の男役たちによる“ロック・ソーラン”。太鼓のビートと揃った掛け声が心に響いて、まるで祭りの最中にいるかのような一体感です。ステージ全体がいっせいに弾ける瞬間が最高です。
ジャズ風「SAKURA」で洒落感が漂う瞬間
いきなり和のイメージから、洗練された大人のムードへ。ジャズアレンジの「さくらさくら」に乗って、軽やかなステップやクールな表情で舞うシーンは、観ている側のテンションを一度落ち着かせる“おしゃれな間”になっています 。
狐と青年のバレエでホッとする幻想的なひと時
中盤、九尾の狐をテーマにしたバレエシーンが登場。花總まりさん演じる狐と、樹里咲穂さん演じる青年がしずかに踊る姿には、感情がゆっくりと動かされるような深みがあります。群舞とはがらっと違う“静の美しさ”が光る場面です。
TRF・SAM氏の振付による“ミレニアム祝祭ダンス”
最後を締めくくるのは、アクロバティックさも感じるダイナミックなダンス。ステージにずらりと並ぶ十二支モチーフのダンサーたちが、未来への祝福を表すかのように軽快にステップを踏みまくり。音楽も軽やかで、まさにお祭りのクライマックスです。
大劇場デビューの和央ようかさん、お披露目の瞬間の存在感
ショーのはじめと終わりに登場する和央ようかさん。大劇場お披露目らしく、全身を使ったダイナミックな歌とダンスで、主人公としての立ち姿をしっかり見せつつ、宙組全体のエネルギーを引き出しています。
まとめ
『ミレニアム・チャレンジャー!』は、次々に展開する場面の多さと、登場するキャラクターの多彩さが魅力。和央ようかさんのトップお披露目という意味でも特別で、群舞・バレエ・ラテン・ジャズ…さまざまな要素がミックスされたエンタメ満載のレビューです。
観ている現実を忘れて、未来へ踏み出すような活力を感じられる一作。テンション高めの舞台が苦手でなければ、絶対に楽しめると思います!
【まとめ】
宙組は、広がりのある舞台構成とスタイリッシュな演出で、初心者にもとっつきやすい作品が揃っています。
一本ものからショーまで、現代的で洗練された宝塚を楽しみたい方には、宙組が最適です。
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