雪組『ステップ・バイ・ミー』観劇感想|宝塚バウホール

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宝塚バウホールで雪組『ステップ・バイ・ミー』を観劇しました。

長年星組をメインに観劇してきたので、今までもそうでしたが、贔屓以外の組をたまに見るととても新鮮ですね。これからは広く浅く観劇していきますので観劇記もボチボチ書いていきたいと思います。

元々観劇する予定のなかった公演ですがご縁あって宝塚リセールでチケットが取れたので観劇となりました。

※ネタバレあります

物語のあらすじ

2000年代はじめ、ロサンゼルス。若手俳優ユージーン(華世京)は、人生初の主演映画に入るのに全然晴れやかな顔じゃないんです。

脚本は固まらないし、ヒロインが降板しちゃうし、そして何より、物語のラストに置かれた「高校のプロムの一夜」が、彼にとっては痛い思い出で……このラストを撮るのが怖い、みたいな空気がずっとまとわりついてます。

一方その頃、ニューヨークの女子大生エイミー(星沢ありさ)。事故のせいで記憶が抜け落ちたままなんだけど、なぜか毎晩、同じ青年の夢を見るんですよね。

で、ある日ぱらっと見た雑誌に、その夢の青年とそっくりな俳優が。そう、ユージーン。勢いで彼の映画のエキストラ応募に釣られて、ロスまで飛んできます。

ここまでの導入はわりとサクサク。(この「夢で見てた顔=スクリーンの人」ってモチーフがあとで効いてきます。)

で、エイミーはなぜかトントン拍子に現場に馴染んで、結局ヒロイン側に立つ流れへ。ここから、現在の撮影と、ユージーンの大学時代の思い出がごっそり重なって見えてくる構成です。

観ていて「若い二人の過去の回想だな」と思っていると、突然「カット!」の声が飛んで、そこは現代の映画セットだった、みたいな入れ子の切り替えが何度も出てきます。脚本を書いているのは、ユージーンの学友ベン(諏訪さき)。ベンが書いた物語は、実は二人の学生時代の出来事そのまんま…

過去の彼の隣にいたのはリリー(星沢ありさ)。10年前に亡くなった、ユージーンの初恋の人。この映画はベンの手で、その日々をそっくり再現しようとしていたのでした。

ユージーンはずっと避けてきたリリーの記憶と向き合わされ、やっと墓前に足を運ぶ決心もつくんですが……同時に、エイミーの存在がその“再現”をややこしくしていきます。だって彼女、リリーに瓜二つなんです。

ここからが作品の“すこし・ふしぎ”。エイミーって誰なの? という問いに、舞台は思い切った解を出してきます。リリーの主治医でもあったライアン教授(英真なおき、専科の存在感!)、そして研究仲間のジャック(咲城けい)の手によって、リリーは“もう一度”この世に呼び戻されていた――DNAを使ったクローンとして。

エイミーは、記憶を持たないまま“18歳の彼女”の姿で世界に放たれ、普通の学生としてルームメイトのサラやアリソンと暮らしていた、という設定です。だからこそ、彼女はユージーンを見ると説明のつかない既視感に揺れて、夢の断片と現実が混線します。

撮影はクライマックスの「プロム」へ。エキストラが足りなくてスタッフ総出で踊ることになったりして、フィクションと現実の境目がどんどん薄くなる。

ユージーンと“リリーの顔をしたエイミー”が、かつての約束にもう一度手を伸ばすみたいに踊るんだけど、エイミーの身体はもともと弱く、そこで限界が来たように見えます。

彼女は「エイミーと呼ばれても、リリーと呼ばれても大丈夫」と笑ってみせる瞬間がありつつ、やがて静かに去っていく。彼女が“天に返った”のか、それともどこかへ歩み出したのか、そこは観客の想像に委ねられます。

ユージーンは、残された自分の人生へ歩を進めるしかない。タイトルどおり“Step by me(そばで支えてくれた人の一歩)”を胸にしまい込んで。

全体としては、現在の撮影現場/過去の青春/映画の中の再演が三重に重なり合うつくり。監督スティーブ、ジェシカ、スタッフたちもドラマの中へ引きずり込まれるように役割を二重三重に担っていき、最後はプロムの撮影そのものがフィナーレみたいに弾けます。

観劇のポイント

DNAを使ったクローン人間??

今回一番の驚きはDNAを使ったクローン人間?ですね。

リリーのお母さんが遺伝子の病気で早く亡くなり、同じDNAを持つ娘のリリーも18歳で亡くなった。父親であり大学教授のライアン教授が研究仲間のジャックの力を借りてクローン人間として作り出したのがエイミーという設定です。

クローン人間については詳しくないですが、倫理的な問題から世界的に禁止されていると思います。さらにもし仮に成功したとしても10年では10歳にしかならないのに大学生とは。

菅谷先生のリリーとエイミーの関係について、考えややりたいことは何となくわかりますが、見ていて「え〜〜?」ってなりましたよ。何か他に解決策はなかったのでしょうか。

大学のアメフト部の場面

大学のアメフト部の場面はナンバーありチアリーダーのダンスありで楽しいですが、観劇している時はやや長く感じました。

しかし全部見終わってあとから思い出すと、ここをしっかり描いておくことで、10年後みんなで一緒に映画を作る設定においてたいへん重要なのだと感じました。

うまいのはわかっていましたが、やはり諏訪さんの芝居、うまいですね。こういう上級生がいると舞台がしまります。

個人の感想

華世京

かせきょーの舞台を見るのは初めてです。106期首席入団、ネットの声は聞いていましたのでとても楽しみにしていました。

まず感じたのは「オーラ」ですね。プロローグで白い衣装でセンターから出てきた時のオーラはさすがです。

私は宝塚で一番必要なのはこの「オーラ」だと思っています。出てきて一目でトップとわかるものがないといくら上手くてもそれは宝塚のトップじゃないと感じます。

そしてこのオーラは持って生まれたものですね。それを持っているは彼女の最大の魅力だと思います。

そのオーラに関係するのでしょうが立った時の頭身バランスがいいですね。

芝居、歌ともに特別うまいとは思いませんが研6にしては十分だと思います。

歌は長年ことちゃん(礼真琴)を聞いてきたので、比べるのも可哀想ですがまだまだこれから伸びそうです。

芝居はこの作品だけではわかりませんが、想像していたよりは雪組らしくないという印象です。どちらかと言えば星組寄りか。もちろん顔芸はしませんけれど、やや力が入っていたかもです。まあ研6でバウホール初主演ですから、力が入って当然。これくらいが若々しくていいのかもしれません。

いずれにしても今後注目のジェンヌさんであることに間違いはありません。今後に期待です。

タイトルについての感想

「Step by me」っていうタイトル、観ているうちにじわじわ意味が伝わってきた気がします。直訳すると「私のそばで一歩」みたいな感じだと思うんですけど、物語を通して考えると「そばで支えてくれた人の想いを胸に、前を向いて進んでいくこと」なんじゃないかなあと私は感じました。

ユージーンにとっては、リリーやエイミーがそういう存在だし、さらにベンや学校の友達たちもずっと彼のそばで支えてくれていたんですよね。あの仲間たちの存在があったからこそ、ユージーンは最後に自分の一歩を踏み出せたんじゃないかと思います。

もちろんこれは私の勝手な解釈なんですけど、観終わったあとに「誰かの想いに支えられて、自分の道を歩き出す」ってすごく素敵なメッセージだなと心に残りました。

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