雪組公演 星逢一夜/ラ エスメラルダ 感想3
この演目 星逢一夜 の本題、メインテーマは何なのか。
まだ1回しか見てないながらもずっと考えています。
なかなかまとまりませんが現時点での僕なりの考えを書いてみます。
あらすじ的には、藩主の後継者である晴興と農民の娘 泉の身分違いの叶わぬ恋の物語のように見えます。
しかし主題はそこではないような気がします。
その一番の要因は晴興に「なんとしても泉と一緒になりたい」という気持ちが感じられないことです。
まだ泉には『晴興への強い想い』が感じられますが。
たとえば空白の7年の間に晴興が泉に恋いこがれ悩み苦しむような描写があったでしょうか。(僕が見落としているのかも?)
どうしても泉が忘れられないのなら、なにか行動を起こすことはできたはずです。がそのような場面もない。
それで考えるに、7年後の再会の場面での晴興の行動、泉を抱きしめ接吻しようとする、その行動や表情から、それまでの7年間、実は晴興
はずっと泉を想い続けてきたのだということを、我々見る側に想像せよという演出なのかとか。
最後、櫓の上で泉を抱きしめて「ほんとうに愛していたのは君だ」(ニュアンス)みたいなことを言いますが、あの場面だけで過去10年間の晴興の泉に対する強い想いを想像せよ、というのは無理があるような気がする。
今思い返すとそのようにも感じられなくもないが、はっきりそうだとは言えない。
それでまたいろいろと考えるうちに、この作品の主題は『自分ではどうすることもできない境遇にありながらも、懸命に生きた人たちのドラマ』なのではないだろうか。
たとえば晴興は江戸に行くことになったのはおそらく12、3才?でしょうから、まだ源太や泉たちとの隔たりは完全には理解していなかったかもしれない。
けれどもだんだん自分と源太たちとは遠い存在であり、幕府での地位が上がれば上がるほど、源太たちを苦しめることになることもわかってきて、でも立場上どうすることもできない。
しかし藩主として仕事をしていかなければいけないという状況に悩んでいたと思う。
最後は多くの人を救う為に親友である源太を殺さなければならなかったという悲劇。でもそうするしかなかった。
泉は子供心にも一番愛する晴興とは身分の違いから一緒になれるはずもないことはわかっていて、でもできれば江戸には行ってほしくはなかったはず。
しかし愛する晴興の人生のことを考えて「江戸に行った方がいい」と晴興の背中を押したのではないか。
最後、一瞬晴興と逃げようとするけど子供たちの声を聞いて我に返る。やはりそこには現実の世界があり母親として当然子供たちを守っていかなかければいけない。
今までもこれからも懸命に生きる泉。
源太はとにかくやさしい。泉のことを想って、晴興に泉を譲ろうと土下座したり、泉と結婚してからはおそらく楽な生活ではないでしょうが、泉や子供たちを守り懸命に生きてきたことはよくわかる。
最後晴興との一騎打ちは、自分が負けることはわかっていて、死ぬことはわかっていて、それでも村人たちを救うためにそれを選択した。
源太こそ、どうすることもできない境遇の中で、懸命に生き抜いた人間だった。
まだ考えがまとまりきらないし、ほんとうは全然違うところにこの作品の本題があるかもしれません。何回も観劇できればもう少し違った部分が見えてくるのかもしれません。しかし観劇できてもあと1回か2回でしょうから、とりあえず現時点での考えをまとめてみました。
観劇されたみなさんはどのように感じられましたか?
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