雪組公演 星逢一夜/ラ エスメラルダ 感想2
7/21 雪組公演 星逢一夜 観劇感想の続きです。
ゆうみちゃんの芝居力の凄さに度肝を抜かれた場面を思い出します。
まずは子供時代。
村の子供たちで星観の櫓を作ったあと、櫓で、「あんた星見るために櫓を作った?」(ニュアンス)の台詞。
誰よりも子供らしく、それでいて親を亡くし弟と懸命に生きるしっかりものの娘、さらに作った櫓が星を見るための物だったと本当にびっくりした様子がその一言に表現されてまいした。
プロローグの音楽から既にウルウルしてましたが、この子供たちの明るい雰囲気でのこの一言でもう泣けました。まあ泣く場面じゃないのに不思議です。
そして紀之介が自分の親を殺した藩主の子供だと知った時の変わり方。
それまで無邪気に星探しに夢中だった娘の表情、態度が一変します。
そして櫓を一気に駆け下りていく。
その後水田での水門の出来事の後、櫓で「米は大丈夫」って聞かされる場面。
自分のために悪道たちと戦ってくれたことで一旦は軽蔑した紀之介を信頼できたことと、米が大丈夫だとわかった安心感からか、その後紀之介、源太たちとの友情が深まっていきます。この辺りの心情の変化がみごとです。
紀之介が江戸に行くことが決まり、でも紀之介は「江戸には行かない」と言う。
泉がそこで言う台詞「あんた、見えない星が見えるところへ行きたいとずっと言っていた。そこへ行けるんよ!」(ニュアンス)
好きな紀之介には江戸に行ってほしくない。
でも所詮叶わぬ恋。
ならば愛する紀之介には江戸に行って頑張ってほしい。という切ない心情が声、言い方、表情、態度全てで表現されてました。
ここで涙腺は完全に決壊されました。
7年後、晴興が江戸から戻る。
そして泉と偶然再会する。
晴興は泉を抱きしめようとするが、「あなたは江戸のお姫様と結婚するんでしょ。」「私は源太と結婚する」(ニュアンス)
そして泉の気持ちを思った源太が晴興に泉を譲ろうとしても、当然晴興はそれを受け入れることはできない。
そして言う台詞「私が源太を幸せにする」(ニュアンス)
ここの一連の芝居もみごとでした。
年月が経ち成長した娘、泉になってます。
声、佇まい。
7年間も生活が楽ではなかっただろうな、でも懸命に田舎で生きてきたんだろうな。
「私が源太を幸せにする」ですからね。たぶん、泉の本心は晴興と一緒になりたい。でもそんなことは叶うはずもない。
なら「私が源太を幸せにする」とバッサリ言うことで、晴興との関係を断ち切る。それが苦悩する晴興の気持ちを楽にさせることにもなり、また自分を思ってくれる源太への気持ちでもあり、さらに自分自身への激励の言葉だったような気がします。
しっかりものの泉をよく表した台詞、そしてそれを見事に演じてます。
ゆうみちゃん、かっこいいです。
それからさらに10年。
源太が仕事から帰ってきます。わらじを脱ぐのを手伝う泉。そして足湯に浸からせるのですがそこで言う台詞「何もごちそうはありませんがこれがせめてものごちそうです」(ニュアンス)
このとき既にかなりの年齢になってます。子供もできていいお母さん。
この姿をみた瞬間、別人だと感じました。
あのあどけない子供役から全く別人のお母さんに。
ここまで役の年齢になりきれるのはすごい。かつての花總まりを思い出させます。はなちゃんも20歳なら20歳に、50歳なら50歳に見えましたね。
そして最後櫓の上で泉が晴興に仇討ちしようとする。
ゆうみちゃん、涙ボロボロで迫真の演技。当然こちらも涙から鼻からたいへんなことになってます。
でもこの場面はちょっと注文があります。晴興の背後から短剣で刺そうとするのですが、晴興が振り向いて芝居が続きます。
ここは振り向かずにその気配を感じ「泉、おまえの気持ちはよくわかる。刺すならさすがいい」と言ってそのままでいてほしかった。
泉はしばらく刺そう、刺そうとするが、やはり刺せず、その場に泣き崩れる。僕はこんな感じを想像しましたがどうでしょうか。
それから自分の旦那を殺した相手を「今でも好き」っていうのが完全には共感できないかな。
ということで、ゆうみちゃんの登場場面を思い出しながら書きましたが、やはりゆうみちゃんの芝居に泣かされたと今でも思います。
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