宙組エリザベート新人公演観劇

 

宙組の新人公演は初めて見ました。

普段ほとんど星組しか見ない僕が他の組の新人公演を見るようになるとは。ひとつにはやはりエリザベートという大好きな演目ということと、バウのWSでも証明されたように歌のうまい下級生が揃っているということで、「ぜひ生で今の宙組の下級生を見てみたい」と思い、縁あって観劇できました。

 

まず全体の感想としては新人公演としては素晴らしい期待以上の公演でした。

主要４役以外の脇役も含めて出てくる人がみんな歌がそれなりにうまいんですね。エリザベートという演目である以上まずは歌唱力ですからね。

抜群にうまいと感じたのはそらルキー二ぐらいですが音程をひどく外すとか椅子からずり落ちそうになるレベルの人はいません。歌劇団ですからこれぐらいが当然なのでしょうが悲しいかな贔屓の星組にはいっぱいいますから。。

なので安心して聞けますし芝居に集中できます。これだけ個人のレベルが高いとコーラスもさすがです。ミルクは聞き応えありました。

歌中心の感想になりますが個人別の感想です。

 

そらルキーニ

レベルの高い宙組にあってもダントツに歌がうまい。そして芝居もいい。

歌はまず音程がしっかりしていてはずさない。低音から高音までしっかり声が出ている。

芝居ついても滑舌がいいので台詞が聞き取りやすい。

こういう基本的なことがしっかりしているんですね、そらくんは。何でもうまいとは聞いていましたがよくわかりました。

その基本の上にルキーニの『テロリスト感』がしっかり表現されていたと思います。ルキーニって役はたぶん相当難しい役だと思います。

テロリストをやり過ぎると単なるチンピラになっちゃいますしね。そんなに大げさにやってないのに芝居が単調にならずにテロリスト感をしっかり出して。

時々見せる『目』が怖いんですよ。

ルキーニといえば理事。僕は宝塚エリザベート史上最高は理事のルキーニだと思うのですがその理事を思い起こさせる、理事の役作りに似てるそらルキーニでした。ちょっと言い過ぎかもしれませんがそれほど質の高い説得力のあるルキーニでした。

 

瑠風トート

歌はそれなりにうまいのだと感じました。声もいいし声量もあって中低音はいいのですが高音の音程が不安定で微妙なところが何カ所もありました。声が裏返ったとろこも多々あり。

特に前半は相当緊張していたのでしょうか、ミルクあたりからどんどんよくなってきました。たぶん普段はもっとうまい人なのだろうと想像しますがエリザベートの楽曲の難しさを改めて感じました。

それからやはり歌うことに精一杯でトートがエリザベートを愛してる感情があまり伝わってきませんでした。黄泉の国に連れて行ってやろうという想いも感じられず。トート独演会みたいな印象でした。東京ではもう少し余裕が出てその辺りの芝居が、エリザベートとの関係性がうまく表現できたらいいと思います。

ただ長身で見た目もかっこいいし声もいいのでこれからの宙組の中心メンバーになっていくのでしょうね。

 

まどかシシィ

歌は中低音は綺麗で声量もそれなりなのですが高音の声量が足りないのが気になりました。弱々しいというか。ファルセットへの切り替えもあまりうまくない。私だけにはちょっと苦しい感じでした。

逆に二幕のルドルフとのデュエットや葬儀、夜のボートなどのほうがよかった。トートが歌うことで精一杯なのに対してシシィは少女から晩年までの年を重ねていく変化を上手に表現していたと思います。

顔の丸さも全然気になりませんでしたが、最後の白い衣装での場面はさすがにまん丸で。もう少し絞った方がいいかもしれません。

でも可愛いから全てよし、のようなシシィでした。

 

留依フランツ

留依くんは地声が高いのでしょうか。謁見の間での第一声「許可する」の声が高すぎてビックリ。もう少し男役の声を作ったほうがいいと思いました。

歌は中高音はそれなりにうまいですが低音が全く出てない。普段の歌を聴いてないのでなんともいえませんがバウWSの映像を見る限りはもっと上手なはず？やはりフランツの楽曲は難しいということでしょうか。

落ち着いた雰囲気なので若いころのフランツより髭をつけてからの歌、芝居のほうがよかったと思います。夜のボートが一番よかったかな。

 

鷹翔ルドルフ

この方、まだ研２なのですね。抜擢なのでしょうが、もう一つ印象に残りませんでした。

１７５cmと長身すぎるし、顔もややふけ顔ですし、歌もあまり上手ではないし。一番残念だったのが最後自殺するときのダンス。動きが緩慢でキレがない。東京公演までには全てにレベルアップを期待したいです。

 

今回は歌に注目して観劇しましたのでいろいろと気になる点も多い感想になってしまいましたが、全体的に素晴らしい公演だったことは間違いありません。ちょっと期待度が大きすぎたかも。

でも実力的にはもっともっと素晴らしい内容にできるメンバーじゃないでしょうか。東京公演ではさらにレベルアップした新公を見せてくれるような予感がします。